太陽光発電って雨漏りするの?プロが教えるトラブル対策

こんにちは。太陽光発電の設置工事を20年以上続けている、株式会社NOW代表の蔵並です。

毎日現場に出て、お客様の屋根と向き合い続けてきました。
今回はこれまで数千件の屋根と向き合ってきた経験から、太陽光発電の雨漏りトラブルについて本音でお話しします。

雨漏りトラブルのご質問。結論としては、正しく施工すれば、雨漏りは99.9%防げます。

太陽光発電設置による雨漏りリスクとは?

国民生活センターのデータによると、太陽光発電に関する相談は毎年多く寄せられていますが、雨漏りに限定すれば「ごくわずか」です。

現場の感覚でも、正しい施工をすれば雨漏りはほぼ起きません。

実際の発生率の目安は表の通りです。

施工状況雨漏り発生率の目安
適切な業者が施工0.1%以下
経験不足・激安業者1〜3%
屋根が劣化したまま設置5〜10%

雨漏りが起こる主な原因

20年間で見てきた雨漏りの原因は、ほぼ100%が以下の3つです。

防水処理の甘さ
ビス穴の防水が不十分だと、雨水が侵入します。ブチルゴムシート+コーキングの二重処理が基本です。
垂木を外した施工
屋根の骨組み(垂木)を外してビスを打つと、強度不足で隙間が発生します。
屋根の状態確認不足
築20年以上のスレート屋根などは、補修を行わず設置すると雨漏りの原因になります。

実は、業界内では2,000件以上の施工で雨漏りゼロという業者も珍しくありません。
それほど、正しく施工すれば雨漏りは防げる時代になっています。

一方で、最近増えているのが「点検商法」と呼ばれるトラブルです。国民生活センターによると、2024年度だけで613件の相談が寄せられたそうです。

※出典:国民生活センター「太陽光発電システムの点検商法が急増!」(2025年6月4日)

激安業者のリスクに注意

正直に言います。激安業者には絶対に頼まないでください。
私が現場で見てきた失敗事例の8割は、「他社より50万円安い」といった激安業者によるものです。

激安業者の多くは、下記のような手法でコストを下げています。

  • 現地調査を省略
  • 防水材料のグレードダウン
  • 経験の浅い作業員による施工
  • アフターフォローの削減

そして一番怖いのが『業者の倒産』
雨漏りが発生しても、業者がいなければ工事保証は紙切れ同然です。修理費200万円を自己負担したお客様も実際にいらっしゃいます。

実際にあったトラブル事例

事例1:設置5年後の雨漏り

(Aさん・築18年スレート屋根)

原因固定金具の防水処理不備。コーキング材の劣化で隙間が発生。
解決パネル一時撤去→屋根補修→再設置
費用80万円

事例2:設置直後の雨漏り

(Bさん・築5年瓦屋根)

原因瓦の割れを見落とし、そのまま設置。
解決瓦交換+防水処理
費用30万円

国民生活センターでも、「業者と連絡が取れない」「保証が切れた後の雨漏り」などの相談が増えています。
また、実際にあった裁判事例では、雨漏りによる損害賠償が認められるケースが増えています。

札幌地裁の事例(2019年)

  • 損害額:450万円(屋根修理費+室内リフォーム費+慰謝料)
  • 判決:施工業者の過失を認定、全額賠償命令

【重要なポイント】

  1. 施工業者には「善管注意義務」がある
  2. 雨漏りの立証責任は施工業者側
  3. 間接損害(家具・電化製品の破損)も賠償対象

定期点検とメンテナンスが重要

太陽光発電協会(JPEA)のガイドラインでは、設置1年後と4年ごとの定期点検を推奨しています。
(FIT制度利用の場合、4年に1度の点検が義務化されています。)

点検を怠ると、コーキングの劣化に気づかず被害が拡大することもあります。

目視点検3〜5万円
詳細点検5〜10万円
発電量測定付き8〜15万円

FIT制度
再生可能エネルギー(太陽光、風力など)で発電された電気を、国が決めた一定価格で、一定期間、電力会社が買い取ることを義務付ける制度。

推奨メンテナンススケジュール

1年目

無料点検:
施工不備の早期発見

2年目

有料点検:
初回総合チェック

10年目

パワコン交換検討+総合点検

15年目

屋根・パネル詳細点検

メンテナンス不足・工事ミスが引き起こすケーススタディ

ケース1:メンテナンス不足による拡大被害

築25年の住宅で、10年間一度も点検せず。コーキングの劣化から始まった小さな雨漏りが、最終的に野地板の腐食まで進行。修理費用は150万円に。

ケース2:工事ミスの連鎖

スレート屋根への取り付けで、ビスの打ち込み位置を間違え、スレートにひび。そこから雨水が侵入し、野地板まで損傷。

コスト・価格トラブルを防ぐ!雨漏り修理費用の目安

太陽光発電の雨漏り修理費用は、被害の大きさ工事内容によって大きく変わります。
「このくらいの症状なら、だいたいこれくらい」と把握しておくことで、不当な請求や価格トラブルを防ぐことができます。

【軽微な雨漏り】
コーキングの補修やビス周りの再処理など

小さな雨染み程度なら、この範囲で対応可能です。

  • 作業費:3〜8万円
  • 材料費:1〜2万円
  • 足場不要の場合の目安

【中程度の修理】
パネルを一時撤去して屋根を補修する場合

築年数が経っている屋根や、防水層の劣化がある場合に多いケースです。

  • パネル撤去・再設置:15〜30万円
  • 屋根補修:10〜25万円
  • 足場設置:8〜15万円

【重大な損傷】
野地板や室内まで水が回っている場合

被害が広範囲に及ぶと、工期も費用も大きくなります。

  • 全体的な屋根補修:80〜200万円
  • 室内リフォーム:50〜150万円

修理が必ず自己負担になるとは限りません。
次の条件に当てはまる場合は、無償または一部負担になることがあります。

  • 施工から3年以内:基本的に業者負担(保証対象)
  • 保証期間内:内容により無償修理可
  • 自然災害による損傷:火災保険が適用される可能性あり

まずは、工事保証書と火災保険の補償内容を確認しましょう。(※2025年現在の一般的な目安です)

また、自治体によっては、太陽光パネルや屋根修繕に関する補助金・助成制度を利用できる場合があります。
修理費用が気になる方は自治体の補助金制度も確認してみましょう。

当社サービスの補助金利用についてはこちら

信頼できる業者選びのチェックポイント

  • 現地調査の有無:「図面だけで見積もり」は絶対NG
  • 足場費用の明記:「足場代サービス」は工事費に含まれているだけ
  • 追加工事の可能性:現地調査後の追加費用について事前合意
  • 屋根補修費の計上:築15年以上は補修費用も含めた見積もりを
  • 保証内容の詳細:「10年保証」の中身を必ず確認

逆に「今日契約すれば特別価格」といった業者には注意が必要です。

現地調査・見積もりから施工までの注意点

太陽光発電の工事は、屋根の状態や環境によってリスクが大きく変わります。
トラブルを防ぐために、次のポイントを必ず確認しましょう。

【1】屋根の状態を正しくチェックする

屋根の劣化が進んでいると、設置後に雨漏りが起こる原因になります。
見積もり前に、次の点を確認してもらいましょう。

  • 築年数と屋根材の種類
  • 劣化状況(ひび、欠け、色褪せ)
  • 防水シートの状態(可能な範囲で)
  • 雨樋の状況

【2】周辺環境も見落とさない

設置位置や搬入経路によって、施工リスクや工期が変わる場合があります。

  • 隣家との距離(足場や影の影響)
  • 高圧線・電線の有無
  • 搬入ルートの確認

【3】見積もり時に必ず聞くべきこと

見積書の金額だけで判断せず、内容を具体的に確認しましょう。

  • 工事リスクと対策方法
  • 保証内容の詳細(雨漏り・構造損傷が対象か)
  • メンテナンス計画(定期点検の有無)
  • 万一トラブルが起きた場合の責任範囲

トラブル発生時の保証・補償・保険の違いと選び方

メーカー・業者保証の範囲と適用条件を比較

メーカー保証の実情

  • 機器の不具合のみ対象
  • 雨漏りは対象外(ここ重要です!)
  • 施工ID取得業者での工事が条件

業者保証の確認ポイント

  • 工事保証期間:最低10年は必要
  • 保証対象範囲:雨漏り・構造損傷を含むか
  • 会社の継続性:倒産リスクの見極め
  • 瑕疵保険加入:国土交通省指定の保険

火災保険・損害賠償保険の適用範囲と相場

火災保険の活用

  • 台風・雪害による損傷は対象
  • 施工不良による雨漏りは対象外
  • 保険料相場:年間5,000〜15,000円

施工業者の損害賠償保険

  • PL保険(生産物賠償責任保険)
  • 請負業者賠償責任保険
  • 保証限度額:最低5,000万円は必要

補償内容が不十分な契約のリスクと、確認すべき重要ポイント

契約前には、以下の点を必ず確認しましょう。

  • 「リフォーム瑕疵保険」への加入状況
     加入していない場合、施工不良の補償を受けられない可能性があります。
  • 保険法人名と保険証券の提示
    実際にどの保険会社の補償が適用されるかを確認してください。
  • 修理費用の負担割合
    一般的には「(修理費 − 10万円)× 80%」が保険適用の目安です。
  • 免責事項の確認(地震・津波など)
    自然災害が補償対象外の場合もあるため、契約前に必ず内容を確認しましょう。

導入前・購入後にできる!雨漏りリスクを最小化する対策まとめ

導入前シミュレーションと補修・リフォームの準備

築年数別の注意点

  • 築10年以下:そのまま設置可能(一般的)
  • 築10-20年:屋根材の部分補修検討
  • 築20年以上:屋根全体の補修・葺き替え推奨

補修費用の目安

  • スレート部分補修:10〜30万円
  • 防水シート補修:20〜50万円
  • 屋根葺き替え:80〜200万円

ユーザー経験談・ランキングから学ぶ業者選びのコツ

技術面

  • 施工ID複数取得
    (取り扱いメーカー3社以上)
  • 建設業許可の取得
  • 電気工事士資格者の在籍
  • 足場組立作業主任者の配置

対応面

  • 現地調査の時間を十分確保
    (最低1時間)
  • 屋根裏確認を提案
  • 近隣挨拶の実施
  • 工事写真の提供

保証面

  • 瑕疵保険への加入
  • PL保険限度額5,000万円以上
  • 工事保証10年以上
  • 定期点検の実施

NGな業者の見分け方

  • 訪問販売での契約迫り販売でのマナー不足
  • 現地調査なしの見積もり:設置技術に不安がある
  • 「今日契約すれば特別価格」:単なる営業手法
  • 他社の見積もりを見せろと要求強引な要求を行う
  • 施工実績の詳細を答えられない設置業者の知識不足

まとめ|雨漏りは99%防げるトラブル

雨漏りは、正しい知識と確実な施工でほぼ防ぐことができます。
ただし、そのためには適切な業者選びと、正しい知識が不可欠です。価格の安さだけで業者を選ばず、現地調査・保証・実績を重視してください。

私たちが実践している「雨漏りゼロ」への取り組み

  • 徹底した現地調査:屋根裏まで確認し、構造を完全把握
  • 二重三重の防水処理:手間を惜しまない丁寧な施工
  • 定期的なアフターフォロー:1年、5年、10年の無料点検
  • 万全の保証体制:瑕疵保険加入で万一の場合も安心

太陽光発電は20年、30年と使い続ける設備です。
目先の安さに惑わされず、長期的な視点で信頼できるパートナーを選んでください。

私たちは、お客様の大切な住まいを守りながら、地球環境にも貢献する太陽光発電の普及に、これからも全力で取り組んでまいります。

何かご不明な点がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
現場で培った経験を基に、お客様一人ひとりに最適なご提案をさせていただきます。

著者紹介

株式会社NOW 代表取締役

太陽光発電設置工事歴20年以上。電気工事士。
「専門家として丁寧な工事」をモットーに、地域のお客様から信頼を獲得。
住宅向け太陽光発電設置工事から、業者向けギガソーラー工事まで、現在も現場に出続け、品質向上に努めている。

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